はじめに
以前「Diablo3」の記事を書いたことがあるんですけど、ゲームのハクスラって結構沼なんすよ。
蟻地獄と言い換えてもいいかもしれない。
ハマると抜け出せない。
でもハクスラの小説ってあんまりないんですよね。
万能系主人公が、めっちゃ強いドラゴン的なやつの素材から、最強武器を錬金するやつはちょくちょく見ますけどね。
それはハクスラではないですからね。ちょっと違いますよね。
それで、なんか面白いハクスラ系小説ないかなぁと探してみました。
「小説家になろう」ですよ。勿論。
ここから先は、ネタバレ注意!
あとね、ここで紹介を見て、気に入った作品とかあったら、ドンドン応援して頂きたい。
世の中の面白い作品ってのは、それを生み出すクリエイター様あってのものですからね!
「良い!」と思ったら「良い!」って伝えてほしい。
応援メッセージでも、作品購入でも、それこそブックマークだけでも良いから、自分が面白いって思ったことを伝えてほしい。
「五つの塔の頂へ」 作者:夜々里 春
見つけました。ハクスラのテイストというか匂いがプンプンです!
ちょっと周囲に異性のキャラクター多すぎ問題がありますね。
そんなポンポン主人公に惚れてんじゃねーよ!
でも、ちょっと許せてしまうのが、主人公が鈍感を気取ったりしてないところかな。
きちんと向き合ってお断りしてる描写がなければ、多分途中で読めなかった。
ちなみに、こちらの作品も小説家になろうでは完結済です。
2019年4月に完結したばかりの、ある意味、出来たてホヤホヤの作品です!
特筆すべきは、ストーリー展開のテンポが良いこと。
これ、ちょっとなんて言えばいいか分からないんで、思ったまま書きますけど、いわゆる「ゲームの世界へ転生・転移しちゃいました」っていう設定の小説より、良い意味でゲームっぽい作品なんです。
ただ、ハクスラに重きを置きすぎると、ゲームっぽさは上昇しますけど、実際のハクスラゲームのように、同じ事のくり返しになりがちで、ストーリー展開のテンポは悪くなると思うんですよね。
でも「五つの塔の頂へ」に関して言えば、ゲームっぽさはかなりあるのに、テンポが良いんですよね。
作品としてハクスラ感を出すのか、テンポを上げるのか、その辺りのバランス感覚が非常に優れた作者様なんだろうなぁと思います。
現地主人公と異世界転生・転移との表現の違い
また、この小説は、異世界転生でも異世界転移でもないですね。
いわゆるファンタジー小説で、現地主人公です。
最近の流行は異世界転生・異世界転移でしょうから、それとはちょっと趣向が違います。
異世界転生・異世界転移の小説って、第1話は「異世界に渡ることになった」ことに関して書かれることが多いですよね。
これの良い点は、主人公のバックボーンを一部とはいえ、最初に表現できるから、主人公の行動原理について、ある程度最初から説明できている状態が作れると思うんですよね。
例えば、「子どもがトラックに轢かれそうになったところを助けて、自分がトラックに轢かれた…と思ったら異世界でした。」って第1話があるとします。
ちなみに、こういうトラックを「転生トラック」と揶揄するそうですね。日野自動車様が開発してくれるんですか?←
で、こういう描写があれば、その後見ず知らずの人を助けるのに、理由をあまり描写しなくても、「第1話でトラックに飛び込んでるしな。」となるわけです。
困った人がいたら、考えるより先に身体が動いてしまう…みたいな主人公の人間性を第1話でなんとなく表現できちゃうわけです。
ただ、現地主人公って、転生トラックに轢かれたりはしないんですよね。
現地主人公は、現地の常識とか価値観、主人公本人の行動原理みたいなものを、きちんと描写してあげないと、読者の違和感や疑問の原因になるんですよね。
「人助けとかする余裕がない、スラムでなんとか生活している、家族もいない心の荒んだ主人公」が理由もなく人助けするって表現だけやと「なんでやねん!」ってなります。
なんか書けや!困ってる子がめっちゃ好みやったとか!金持ってそうやったとか!主人公の心がめっちゃ高潔なんやとか!なんでもえぇから理由書いてくれ!前でも後でもいいから!
そういう意味で、現地主人公で描いていくなら、異世界転生や異世界転移とは違った難しさがあるんですけど、「五つの塔の頂へ」に関しては、その辺りも矛盾なく描かれているんですよね。
ハクスラテイストかつ現地主人公で、このレベルの高さの小説って他ではまだ見てないですね。
また小説家になろうに投稿されているんですけど、1ページあたりの文章量もそれほど多いわけではないので、今まで紹介した作品の中では、1話あたりがライトかなぁと思うので、読みやすい作品を探している人は是非!
この記事へのコメントはありません。